連立1次方程式
行列と連立1次方程式
以上のような連立1次方程式は、行列を用いて
と書き表すことができる。A = [a_{ij}], \bm x = [x_j], \bm b = [b_i]とおくと、以下のように書ける。
Aを係数行列と呼ぶ。
拡大係数行列
A \bm x = \bm bにおい て、係数行列Aとベクトル\bm bを並べてできる行列
を拡大係数行列と呼ぶ。
行基本変形
- i行目とj行目を入れ替える (i \neq j)
- i行目をc倍する (c \neq 0)
- i行目にj行目のc倍を加える (i \neq j)
行階段型
主成分(行の最も左の0でない成分)が階段状に並んでいる行列を、行階段型と呼ぶ。以下は行階段型行列の一例である。
階段の段の個数を階数(ランク)と呼び、行列Aの階数を\rm rank\ Aと書く。
行簡約階段形
階段形であり、主成分が1であり、主成分の上下の成分が0である行列を、行簡約階段形と呼ぶ。
任意の行列は、行基本変形を行うことで行簡約階段形に変形できる。このアルゴリズムは、掃き出し法(ガウスの消去法)と呼ばれる。
行基本変形と連立1次方程式
連立1次方程式A \bm x = \bm bを考える。\begin{bmatrix}A \mid \bm b\end{bmatrix}に行基本変形を行い、\begin{bmatrix}B \mid \bm c\end{bmatrix}が得られたとする。このとき、A \bm x = \bm bはB \bm x = \bm cと同値である。
行基本変形の解と自由度
連立1次方程式A \bm x = \bm bを考える。Aは(m, n)型行列である。A \bm x = \bm bが解をもつための必要十分条件は、
となることである。この等式が成り立つときの連立1次方程式の解の自由度(任意定数の個数)は
である。
同次(斉次)連立1次方程式
連立1次方程式A \bm x = \bm bにおいて、\bm b = \bm 0であるとき、同次(斉次)であるという。そうでないとき、非同次(非斉次)であるという。
同次連立1時方程式は必ず\bm x = \bm 0を解にもち、これを自明な解と呼ぶ。\bm 0以外の解は非自明な解と呼ばれる。
Aを(m, n)型行列とする。同次連立1次方程式A \bm x = \bm 0について、以下が成り立つ。
- \rm rank\ A = nならば、A \bm x = \bm 0は自明な解のみをもつ。
- \rm rank\ A < nならば、A \bm x = \bm 0は非自明な解をもつ。