基本行列
基本行列 P_{i,j}
(n, n)型単位行列のi行目とj行目を入れ替えた行列をP_{i,j}とする。
P_{i,j} = \begin{bmatrix}
1 & & & & & & \\
& \ddots & & & & & \\
& & 0 & & 1 & & \\
& & & \ddots & & & \\
& & 1 & & 0 & & \\
& & & & & \ddots & \\
& & & & & & 1
\end{bmatrix}
この行列をある(m, n)型行列に左から掛けると、i行目とj行目が入れ替わる。右から掛けると、i列目とj列目が入れ替わる。
基本行列 Q_{i,j}
(n, n)型単位行列の(i, i)成分をcとした行列をQ_i(c)とする。
Q_{i}(c) = \begin{bmatrix}
1 & & & & & & \\
& \ddots & & & & & \\
& & 1 & & & & \\
& & & c & & & \\
& & & & 1 & & \\
& & & & & \ddots & \\
& & & & & & 1
\end{bmatrix}
この行列をある(m, n)型行列に左から掛けると、i行目がc倍される。右から掛けると、i列目がc倍される。
基本行列 R_{i,j}(c)
(n, n)型単位行列の(i, j)成分をcとした行列をR_{i,j}(c)とする。
R_{i,j}(c) = \begin{bmatrix}
1 & & & & & & \\
& \ddots & & & & & \\
& & 1 & \cdots & c & & \\
& & & \ddots & \vdots & & \\
& & & & 1 & & \\
& & & & & \ddots & \\
& & & & & & 1
\end{bmatrix}
この行列をある(m, n)型行列に左から掛けると、i行目にj行目のc倍が加わる。右から掛けると、j列目にi列目のc倍が加わ る。
基本行列の正則性
P_{i,j}, Q_{i}(c), R_{i,j}(c)は正則である。次が成り立つ。
P_{i,j}^{-1} = P_{i,j}
Q_{i}(c)^{-1} = Q_{i}(c^{-1})
R_{i,j}(c)^{-1} = R_{i,j}(-c)
階数標準形
任意の行列Aは、行基本変形と列基本変形を施すことで、階数標準形に変形することができる。
\begin{bmatrix}
1 & & & & & \\
& \ddots & & & & \\
& & 1 & & & \\
& & & 0 & & \\
& & & & \ddots & \\
& & & & & 0 \\
\end{bmatrix}
\rm{rank}\ A個の対角成分が1であり、残りは0である。
正則行列とランク
正方行列Aが正則であるための必要十分条件は、\rm{rank}\ A = nとなることである。
また、正則行列Aは基本行列の積によって表される。Aから単位行列を得る変形を単位行列に施すことで、A^{-1}が得られる。